洋服最大の敵!墨汁のシミを大根おろしで落とすのは間違いだった

洋服についたシミの中でも、もっとも強敵とされるのが墨汁のシミ。自分で落すのはとても難しく、また、プロであるクリーニング店に出しても落ちなかった経験がある方も多くいらっしゃるかと思います。

墨汁というのは、本来は炭とニカワで作られています。ただ、現在市販されている安価の墨汁はカーボンと接着剤で作られていることが多いようです。

いずれにしても、どちらも粒子が大変細かく直ぐに衣服の繊維に付着し浸透してしまいます。また、水や油に混ざりはしますが溶けることがありません。そのため、繊維に染みこんだ墨汁が一度乾いてしまうと、なかなか落ちないのです。

そんな墨汁のシミを落すのに、昔ながらの知恵として「大根おろしを使用すると落ちる」という話がありますが、実はそれは大きな間違いなのをご存知でしょうか?

たしかに、墨汁のシミが乾く前に大根おろしで少しつけておき、直ぐに洗い流せば、多少は落ちるようです。しかし、ついた繊維にもよりますが、多くの場合が大根おろしに吸い上げられた墨汁によって余計にシミが広がり、取り返しのつかなくなります。

元々、大根おろしで落すのに有効なのは、血液や卵のシミだと言われています。というのも、大根おろしに含まれる成分が血液のシミを分解する働きがあるからです。

血液も墨汁と同じく落ちにくいシミの1つです。それに有効だった大根おろしが、同じく落ちにくいシミの墨汁にも使えるのではないかと、「墨汁のシミには大根おろしが良い」という話が存在ものと考えられます。

たしかに、多少は落ちるので全てが嘘ではありません。しかし、やり方を一歩間違えればシミは広がりますし、完全に対処できるかといえば違うのも現状です。

では、墨汁のシミはどうやって落せばよいのでしょうか。ポイントは乾く前にすばやく対処することです。前述でも書いたとおり、墨汁は一度乾いてしまうと繊維に浸透した墨はなかなか落せません。乾く前に流す事が重要なのです。

まず、固形石鹸を使用する方法があります。墨汁がついた箇所を乾く前にかるく水で濡らし、固形石鹸を擦りつけましょう。そして、シミの部分を揉んでください。

ここで重要なのは、浮き出てきた墨汁をすぐに水で洗い流す事です。抜けてきた墨汁が他の繊維に広がってしまうので、すばやく行う事がポイントです。固形石鹸を擦りつけ揉み洗いし、水で洗い流すという作業を落ちるまで繰り返しましょう。

歯磨き粉を使用する方法もあります。基本的には上記の固形石鹸と同じで、シミの部分を軽く湿らせて揉み、歯ブラシなどに歯磨き粉を付けて叩くように落します。この時も、浮き上がった墨汁が広がってしまいますので水で流しながら繰り返し行ってください。

この他にも細かい繊維に入り込んだ墨汁を落すのに、ご飯粒を使用する方法もあります。また、上記の方法は色落ちする衣服や繊細な生地にはダメージを与えてしまします。そのため、墨汁を使用する際にはそのような服は避けて着用したほうがよいでしょう。

いずれにしても、墨汁が衣服についたら乾く前にすぐに対処する事が大事です。あまりにも、落ちない場合にはクリーニングに出すのも手ではありますが、クリーニングに持っていく間に墨汁は乾いてしまいますので、恐らく完全に落すのは至難の業です。

墨汁のシミは時間との勝負。自宅ですばやく的確に対処できるように、墨汁を使用する際には事前に準備しておくと慌てずにすみそうです。